開幕! 川崎劇場
先週、某売れまくり一人勝ち子供服会社の新人研修を取材してきた。
まだ紙面化されていないので詳細は控えるが、全国から新入社員200名強を
集め、一週間かけ10名ごとのチームに分かれてCM制作を行い、
最終日に発表を行い評価を競うという内容で、はたから見ていると大学の
文化祭のようなノリなのだった。
わざわざお金と時間をかけて企業がこんなことをするには当然目的があって、
その最大の眼目は「一体感の創出」という。社長はこんな風に言っていた。
「ウチみたいな中小企業が勝つには、全員が一丸となる必要がある」
逆に、優秀な人材の獲得が望めない中小企業でも、チームワークの発揮で
充分勝機を見出せる、ということである。
で、川崎の開幕投手である。
獲得してきた張本人が「名古屋のファンに失礼」と激高したのは笑ったが、
なんにせよ、そのニュースを聞いた誰もが?!、と思ったことだろう。落合は
開幕を捨てゲームにしたのか、単なる思い付きか、ウケを取りにきたのか…。
試合後明かされたその答えは、凡人の想像の範疇にはなく、
「このチームを変えるには、三年間けがで苦しんできた男の背中を、
みんなで押す必要があった」。
泣かせる話ですなぁ。
この談話から、落合監督は開幕戦をチーム変革のシンボルに
位置づけたかったのだろうと想像する。
ここで言うチーム変革とは、「一体感の創出」である。
個々が優れた技量を持っていても、個人の間をつなぐものがなければ
チームとしての力は発揮されない。現在のジャイアンツがそのいい例だし、
昨年のドラゴンズもあまりの貧打ぶりに投手陣が切れていたようである。
そこで3年間苦しみ続けた川崎を開幕に投入し、「みんなで後押し」する
状況を作り出し、気持ちを一つにまとめあげようとしたのではないか。
もっとも、背中を押したら本人は奈落の底に落ちてしまったわけだが、
打線と中継ぎ陣の奮起でチーム一丸的勝利を収め、はからずも開幕戦を
チーム変革のシンボルとすることには成功した。
5点取られた後のアレックスのファインプレーや、井上が全力疾走で
内野安打をもぎ取ったあたりは、その現れだと思う。
といっても、やはり川崎の開幕投手など無茶もいいところで、これで負けて
いたらバッシングの嵐が吹きまくっていたことだろう。
それでも平然と実行してしまうところに信念の存在が感じられる。
しかも勝利してしまう引きの強さに、ひょっとしたらひょっとするのでは、
と思わせられた一戦であった。
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