行列を創り出すラーメン店
過日、ラーメン不毛地帯、自由が丘に行列のできる店ができたと聞き、
近くを通ったついでに行ってみた。
立地は商店街の裏手にあり、店構えは最近よくあるこじんまりしたレトロ風。
外から店の内部は見えない。
私の前には男一人女二人の若い三人組が並んでいて、入り口に張り出された
雑誌の掲載記事やメニューを見ながら嬉しそうにはしゃいでいた。
どれどれ、と私も見てみると、ここは帆立味の豚骨スープがウリらしい。
他にも二種類の麺を組み合わせた二刀麺やら煮干カレーやら、特徴あるというか
奇をてらったメニューを用意していて、それぞれ上手に能書きが付けてある。
この大大という店、よくマスメディアで取り上げられるせたが屋という
ラーメン屋の経営者が作ったそうである。
ただ、店内から客が何人か出てきたのだが、なぜかすぐ中に入れてくれない。
三人まとめて座れるように調整しているのかね、くだらん気遣いしやがると
心の中で毒づきながら待つことしばらく、今日はいい加減あきらめるかと
イライラがピークに達する直前に、やっと店員に店内へ招きいれられた。
内部はカウンター席と座敷が一室。3人組は座敷に入り、私はカウンターへ。
張り紙によると、ラーメンは一日に限定数以上は売らないという。
この店最大のウリの帆立味豚骨スープは、やや生臭さがあって、あまり
好みではなかったが、特に不味いということもない。こんなもんでしょう。
それより食べている間中不思議だったのは、三席も四席も席が空いているのに
外で並んでいる客をなかなか店内に入れてあげないことだった。
テーブルの後片付けが追いついていないわけではない。
店員の気が利かないのか、不親切なのか…。
どうにも釈然としないまま店を出ると、外に10人ほどの行列ができていて、
あ、そういうことかとやっと疑問が氷解した。
おそらくは行列を長く作るために、意図的に入店を調整してたのねん。
メディアのお墨付きを動機付けに、巧妙に練られた能書きを楽しみながら、
人気店の証しである行列に並んで暇な時間を消費し、能書きを自分の舌で
再確認した後、第三者に「あの店はね~」とうんちくをたれる。
この店は単にラーメンを食わせるだけではなく、こうした一連の楽しみを
サービスとして客に提供しているのだ。その意味では外食店というより、
一種のエンターテイメントビジネスというべきだろう。
ラーメンとしては高めの価格設定も納得だ。
多少、客回転が悪くなったって、一日の販売数の上限も決まっていることだし。
浅はかな考えで不親切だ、などと思い込んでしまって誠に申し訳ない。
また行きたいとは決して思わないけれど。
| 固定リンク


コメント