« 2004年6月 | トップページ | 2004年8月 »

2004.07.31

オレ竜コーチング

今年、中日ドラゴンズの試合を見る楽しみは選手の成長・進化ぶりにある。
といっても以前のことはよく知らないのだが、シーズン当初は打撃が
ダメダメだった荒木が守備の自信を手がかりに飛躍したり、やはり守備固めで
神業を連発した英智がチャンスをつかんでレギュラーを奪取したり。
これは若い選手に限った傾向ではなく、立浪は野球人生最高の結果を残しそうだし、
ずっと日陰にいた柳沢が輝く姿は涙なしに語れない。
もちろん中にはパッとしない選手もいるが、総体的に見ると今年飛躍したといえる
選手が多いのではないか。

そんなわけで、昔読んだ落合博満著「コーチング―言葉と信念の魔術」を改めて
手にとってみた。
現在のドラゴンズの戦いぶりと照らし合わせると、実に興味深い一冊である。

100人の若い社員を預かったなら、その100人すべてに、何とか目鼻をつけさせたい。
そのためにはどうするか。若い人たちの最大なる長所と、欠点は何かを見る目を
つけさせることだ。(中略)目立つ長所があり、欠点がさほど仕事や人間関係に
影響しないものであれば、その長所をどんどん伸ばしてやればいい。それが自分の
長所であるという自覚を持てば持つほど、仕事や身のこなしにも自信があふれて
くる。そして、そんな人の欠点は、いつしか長所の陰に隠れてしまうことが多い。

こんな記述からは、守備という長所を活かして飛躍した荒木や英智の姿が思い浮かぶ。
他の球団だったら、二人は地味な守備要因で終わっていた可能性が高いと思う。
渡辺も頑張れよ! また、こんな自己分析も興味を引かれる。

プロ野球界の指導者には、3つのタイプがある。それは、その指導者がどの方向を
向いて話をしているかで決まる。選手のほうを向いて話をするのか、会社(チーム)に
向かって話をするのか、一般大衆(メディア)に向かって話をするのか。(中略)
私の評判が良くないのは、あまり会社や大衆に向かって話をしないからだ。私は、
少数の人間からは支持されても、会社の経営者や一般大衆からは支持される
タイプではない。

自分がマスコミに叩かれることなど、あらかじめお見通しだったようである。
ついでに関西で偉くなった人を揶揄しているように見えるのは気のせいか。
というように本書は色々な読み所があるのだが、何より素晴らしいのは
選手を一個の人間として尊重し、実際にグラウンドでプレーする彼らを
主体としてすべてを発想している点にある。指導者論として秀逸なのだ。

本書が発売されたのは2001年8月。当時、落合はキャンプ中の臨時コーチを除き
指導者経験がなかった。それにも関わらずこれほど実践的なコーチング論を記す
ことができたのは、きっとこの人は当てもないのに指導者になったときのことを
想定し、組織運営や選手指導の方法、リーダーシップの発揮などについて、
考えて考えて考え抜いてきたからだと思う。監督に就任したとき、指導者経験の
無さを指摘する向きもあったが、浪人時代も落合の心はグラウンドにあったのだ。
正真正銘の愛すべき野球バカであり、その思考の結実を見てハァハァしている
ファンの方にはぜひ一読をおすすめしたい。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2004.07.26

光文社ペーパーバックス「日本語」の崩壊

富士通は日本の成果主義導入の先駆けとして知られるが、残念ながら
それがうまく機能しなかったケースとしてもよく話題にのぼる。
そこで「内側から見た富士通『成果主義』の崩壊」(城繁幸著 光文社)である。
「『成果主義』導入10年で、無残な『負け組』に転落した!」この会社の
元・人事部社員がそのダメダメな内幕を暴露した本とあれば、買わない
わけにはいかないだろう。
しかもペーパッバックススタイルで活字も横組み、価格も税込み999円と
くれば、新たな書籍パッケージの登場という点でも興味が湧く。

そんなわけで大いに期待を持って購入した本書ではあるが、結局20~30ページ
読んだところであえなく挫折した。
内容うんぬんの問題ではない。
文章中にやたら英単語が挿入されているため、つかえまくってしまうのだ。

無能なトップ top management とそれに群がった無能な管理職が、この制度を
使いこなせず、社員の士気 morale は低下。社内には、不満 complaint と嫉妬
jealousy が渦巻き、自殺者まで出るという惨状が出現してしまった。

こんな具合で食事中、飲み込むたびに小骨がのどに刺さるような感覚だ。
とても読書に集中できたものじゃない。あー、イラつく。

こんなバカげたまねをするのは著者の英語かぶれかと思ったらそうではなく、
光文社ペーパーバックスの特徴なんだそうである。
同シリーズの4つある特徴の一つとして、こんな説明が付いている。

「4、英語(あるいは他の外国語)混じりの『4重表記』
  これまでの日本語は世界でも類を見ない『3重表記』(ひらがな、カタカナ、
  漢字)の言葉でした。この特性を生かして、本書は英語(あるいは他の
  外国語)をそのまま取り入れた『4重表記』で書かれています。これは、
  いわば日本語表記の未来型です。」

日本語の後に、わざわざ同じ意味の英単語を挿入する意味がどこにあるのか?
ぼくにはさっぱりわからないし、出来上がった文章を読んでみて、こりゃダメだと
この本に関わった人たちは感じなかったのだろうか。
まして、本気でこれが日本語表記の未来型だと信じているのなら、出版業なんて
辞めちまえってことですよ(怒)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.07.17

高橋がなり氏インタビュー

先日,不肖、私がまとめを担当した記事がWeb上に掲載されておりました。

一年間、指示を封印し 考えぐせをつけさせよ

高橋がなり氏が組織運営について鋭い考察を展開しています。
のぞいてみて下さいな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.07.10

驚異?の新書検索&読書ガイド

昨年来、コンテンツの制作をお手伝いしてきた新書情報・検索サイト
新書マップ」がオープンしました。
毎日、朝日ではすでに大きく取り上げられています。
新聞よりBlogの方がはるかに発信が遅い、という突っ込みはさておき…

毎日
新書マップ:ぬくもりある読書案内 ウェブ公開始まる
調べたい項目を入力すると、約7000点の蔵書から目的にあう新書を
たちどころに選び出し、詳しい解説までつけてくれる。そんなビジュアルな
仮想書棚が実現した。30日からウェブ公開が始まった「新書マップ」
(http://shinshomap.info)は、機械的な検索とは違った「ぬくもりのある」
読書案内だ
(続きはこちら

朝日
新書・選書をネットで検索 7千冊を千のテーマに分類
 あるテーマに関連した新書・選書をすぐに探せるネット上の検索システム
「新書マップ」が完成し、30日から無料公開される。書名や著者名が分から
なくても、「連想検索」によって狙いの本を絞り込むことができる
(続きはこちら

検索システム、デザイン、コンテンツの豊富さという点でかなり面白い、
というか最初に検索すると、かなり驚く人が多いんじゃないかな。
本の好きな方、デザインに興味のある方はぜひのぞいてみて下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.07.03

評論家を10倍楽しく見る方法

別に誰かの悪口や裏話の暴露を商売にしても、そこに読者を引きつける芸が
あれば、それはそれで構わないとは思う。というか、それを否定したら自分
自身の仕事を否定するようなものでもあるし。
だから、江本孟紀が何を言おうと別に構わないのだが、久々に著書を読んで
みたら、あまりに面白いことを書いていたので二点だけ触れてみる。

プロ野球を10倍楽しく見る方法 2004年版
江本孟紀著 日本文芸社

この本の中で、彼の定番となった中日・落合監督を腐すくだりがある。
ちょっと長いが引用すると

「監督はチームの補佐役で、マネジメントが大きな仕事である。監督してチームを
引っ張っていく場合もあるが、そのときには“男気”が必要である。
 男気とは何か。それは、自腹で飯を奮発するとか、人のために寸暇を惜しんで
何かをしたとかも必要だが人を認める言動ができるかどうかも大切な要素である。
 また、大物という定義は(中略)身銭をきって大盤振る舞いするとか、
そのような“大物ぶり”が伝わってくるような人物を指すのだ」

おそらくライターが江本氏の話を書き飛ばした少々わかりにくい文章だが、
要するに監督としてチームを引っ張るリーダーシップとは、自腹で飯を奮発する
とか身銭をきって大盤振る舞いするようなことだと読める。おいおい…。
江本氏といえば、92年から2004年まで参議院議員を務めたお人である。そんな
人物のリーダーシップ像としてはあまりにお粗末であり、こんなプアーな認識で
国政に関わっていたかと思うと愕然とするばかり。いや、あまり重要なところに
関わっていたとは思えないんで、別にいいけど。大阪府民は賢明でしたね。

もう一点はこんなくだりである。

「先日、落合内閣のヘッドコーチ兼ピッチングコーチに就任した鈴木孝政に
会ったとき、彼は落合についてこう言っていた。
『あの人は(監督として)大丈夫ですよ』
彼は突っ張ってそう言っているようだったが、鈴木程度では簡単に落合に
ひねられてしまう。だから私は鈴木に念を押した。
『孝政、落合とケンカをしてでも、ビシビシ自分の意見を言わないと、
いっぺんでやられてしまうぞ』」

あんたか、 余 計 な 入 れ 知 恵 を し た の は …。

ちなみに本書では、昨年広島から阪神に移籍した金本が活躍したのは自分の
アドバイスが効いたおかげと自画自賛している。その内容とはこうだ。

「いろんな有象無象が近寄ってきて、“ああでもない”“こうでもない”と
言ってくるから注意しなさい」

自分が鈴木コーチにとっての「有象無象」だとは、考えが及ばなかったようだ。

※鈴木孝政コーチの件についてよく知らない方は、前回をご参照下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2004年6月 | トップページ | 2004年8月 »