光文社ペーパーバックス「日本語」の崩壊
富士通は日本の成果主義導入の先駆けとして知られるが、残念ながら
それがうまく機能しなかったケースとしてもよく話題にのぼる。
そこで「内側から見た富士通『成果主義』の崩壊」(城繁幸著 光文社)である。
「『成果主義』導入10年で、無残な『負け組』に転落した!」この会社の
元・人事部社員がそのダメダメな内幕を暴露した本とあれば、買わない
わけにはいかないだろう。
しかもペーパッバックススタイルで活字も横組み、価格も税込み999円と
くれば、新たな書籍パッケージの登場という点でも興味が湧く。
そんなわけで大いに期待を持って購入した本書ではあるが、結局20~30ページ
読んだところであえなく挫折した。
内容うんぬんの問題ではない。
文章中にやたら英単語が挿入されているため、つかえまくってしまうのだ。
無能なトップ top management とそれに群がった無能な管理職が、この制度を
使いこなせず、社員の士気 morale は低下。社内には、不満 complaint と嫉妬
jealousy が渦巻き、自殺者まで出るという惨状が出現してしまった。
こんな具合で食事中、飲み込むたびに小骨がのどに刺さるような感覚だ。
とても読書に集中できたものじゃない。あー、イラつく。
こんなバカげたまねをするのは著者の英語かぶれかと思ったらそうではなく、
光文社ペーパーバックスの特徴なんだそうである。
同シリーズの4つある特徴の一つとして、こんな説明が付いている。
「4、英語(あるいは他の外国語)混じりの『4重表記』
これまでの日本語は世界でも類を見ない『3重表記』(ひらがな、カタカナ、
漢字)の言葉でした。この特性を生かして、本書は英語(あるいは他の
外国語)をそのまま取り入れた『4重表記』で書かれています。これは、
いわば日本語表記の未来型です。」
日本語の後に、わざわざ同じ意味の英単語を挿入する意味がどこにあるのか?
ぼくにはさっぱりわからないし、出来上がった文章を読んでみて、こりゃダメだと
この本に関わった人たちは感じなかったのだろうか。
まして、本気でこれが日本語表記の未来型だと信じているのなら、出版業なんて
辞めちまえってことですよ(怒)。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント