長くて薄いの
「脳を活かす! 必勝の時間攻略法」(講談社現代新書)は、単なる時間「活用」ではなく「脳」を活用した時間「攻略」ってタイトルがうまいなぁと思いつつ手に取った。
本書にはバイオの研究の傍ら国家公務員試験Ⅰ種経済試験に合格し、NHKでアナウンサーとして活躍した後医師免許を取得し、衆議院議員秘書を経て現在は東大医学博士課程に在籍するという、やたら略歴が長い著者による時間攻略法のノウハウが書かれている。
無駄な時間を削ることに腐心してつまらん奴に成り下がるのではなく、脳を活性化して一日を48時間分活用しようというコンセプトには大いに共感するし、脳の機能をわかりやすく説明しながら時間の「攻略法」を提示する文章の運びはさすが元アナウンサーという流暢さ。自身の体験の中から編み出した15分刻みの集中法やポストイットの活用法など、これは使えそうだという方法も多い。
でも、なんか薄いな…。
それは、すでにけっこう流布している話をわかりやすく書いているだけの部分が多いとか、医者のくせにゲーム脳を例に出しちゃう安易さとか(きっとこの人はゲーム脳本を読んでいないのだろう)、いくつか要因はあると思うのだが、つまるところはいろんな分野に足を突っ込む器用さを持ちながら、どこ目指しているのかよくわからないこの人の経歴に根本的な原因があるのかな、という気がする。
要するに、何のためにそんな頑張るの、という点が本書からは見えないってことですよ。
ノウハウ本としては決して悪くないが、惜しい。
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