« 青山ブックセンター自由が丘店復活! | トップページ | 業務連絡 »

2005.09.04

キャリア1000略、メディア1000略

ドラゴンズとタイガースの優勝争いはまだまだ決着がつきそうにありません。あと1ヶ月もこんな戦いを連日見せつけられたら仕事が手に付かないよと、嬉しい悲鳴をあげている両チームのファンは少ないないでしょう。

白熱するセ・リーグの戦いの一方で、もう一つ目が離せないのが星野仙一阪神タイガースオーナー付シニアディレクター(SD)の動向です。プロ入り当時から打倒・巨人を一貫して標榜し人気を博してきた人物が、その敵対し続けてきたチームの再建に取り組むかもしれないのですから、話題になるのも当然です。

個人的にはかねがね、星野SDは「凄い」人だと思っていました。それは、最下位争いの常連だった阪神タイガースをリーグ優勝に導いた手腕だけを指しているわけではありません。内山斉・読売新聞グループ本社社長が「日本のプロ野球界を背負って立つ人」と大絶賛のコメントを出しているように、星野SDの野球人としての実績以上に、世間から高い評価を受けていると思える点が「凄い」と私は感じるのです。

星野SDの実績を具体的に見て行きましょう。現役時代の成績は146勝121敗34セーブ。個性の際立った好選手ではありましたが、超一流の域には達してはいません。
監督としては、1987年から1991年、1996年から2001年に中日監督、2002年から2003年まで阪神監督を務め、計13年間で3回のリーグ優勝を果たしましたが、日本シリーズではいずれも敗退しています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%9F%E9%87%8E%E4%BB%99%E4%B8%80

名将と呼ばれた広岡達郎氏の通算8年間でリーグ優勝4回、日本一3回、森 祗晶氏の通算11年間でリーグ優勝8回、日本一6回という戦績と比べると、星野SDの数字はかなり見劣りがします。長嶋茂雄氏が通算15年間でリーグ優勝5回、日本一2回の成績を残しているのと比べても、日本一がない点で一枚落ちる感があります。
つまり、現役選手としても監督としてもずば抜けた域に達していないにも関わらず、星野SDは「日本球界の至宝・ミスター(長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督)級の“球界の宝”」(前出のサンケイスポーツ記事より)といわれるほどの評価を得ているわけです。

この実績と高い評価のズレを埋めているものは、いったい何なのでしょうか。奥の深い分析対象ですが、ここではとりあえず二つのポイントをあげておきます。
その一つは、本人の飽くなき向上心。例えば、今回の巨人監督就任をめぐる騒動でも、実はアプローチをしたのは星野SD側からという説が聞かれます。週刊プレイボーイ誌のコラムで、評論家の江夏豊氏は次のように記しています。

「実際、かねてから自分の耳には阪神全監督の星野氏と前コーチの田淵氏がペアで巨人に売り込んでいるとの確かな情報も入っていた。阪神関係者、虎ファンの方にしてみれば憤る以前に呆れ返る話しだろう。
だが、考えてみてほしい。星野氏は01年オフに中日監督を解雇された後、すぐに同一リーグの阪神で指揮を執った人間である。要するに、お金のあるほうへ平気で動く人間と思われても仕方のない過去がある」(2005年8月9日号)

どんな成果をあげようとも現状に満足せず、新たな地位と成果を追求する姿勢が、星野SDの行動に必要以上の迫力を与え、成果主義の世の中にアピールしているのかもしれません。

もう一つ指摘できるのは、抜群のメディア・コントロール力。「勝ちたいんや!」、「あ~、しんどかった」といった名言の数々はスポーツ紙面に格好のネタを提供し、怒りも露にベンチを蹴り上げる、審判への猛抗議といった「闘将」パフォーマンスはテレビ画面に視聴者を引き付ける効果を上げました。
正確な発言は記録を取っていないので定かではないのですが、少し前、報道ステーションに出演した際に星野SDが野球選手は気の利いたコメントを出す訓練をしたほうがいい、といった話をしたことがあり、なるほどと思いました。つまり、星野SDは単なる野球バカとは異なり、常にメディアを通じた一般大衆へのアピールやインパクトを考えて発言や行動をしているのです。

うがった見方をすると、前出のコラムのように、星野SD側から巨人に自分を売り込んだといった印象の悪い話を一般にはあまり見かけないのも、メディア・コントロール力の別の表れかもしれません。何しろ自分が目を通した範囲では、江夏豊氏という球史に残る活躍をした野球人があれだけ踏み込んだ内容を執筆したというのに、なぜかスポーツ各紙は取り上げないのですから…。オムライスは我々の想像以上に美味なのでしょうか?

最近はネット上で過去の発言の矛盾を検証されてもいますが、そんな細かい過去はものともせず、世間から実績と見合う以上の高い評価を獲得し、今、新たなステージに立とうとしている星野SDの生き方からは、ある種のビジネスマンがキャリア構築や自己アピールを実践する上で学ぶべき点がたくさんあると思います。私は遠慮しておきますが。
個人的には、星野SDにぜひ巨人監督に就任して欲しい。ジャイアンツ対ドラゴンズ、タイガース戦は色々な意味で面白い戦いになるはずですから。

|
|

« 青山ブックセンター自由が丘店復活! | トップページ | 業務連絡 »

コメント

そりゃ、仙ちゃんは(まるで友達みたいですけど、当然ながら全然知らない人です)すごい人で、私個人の些細なこだわりなんて踏みつぶして、それで巨人の監督になるんですよね、きっと。でも、寂しい・・・。
谷繁抜かれたらもっと寂しい。
面白いかなぁ、星野巨人との戦いは。複雑。

投稿: うっきい | 2005.09.05 17:53

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23895/5775107

この記事へのトラックバック一覧です: キャリア1000略、メディア1000略:

» 読売の迷走 [Red Lantern]
読売から正式にオファーがあったようだ・・。1年契約で10億円。「打倒巨人」を公言してはばからない同氏の「心の内」は決まっているのだろうか・・。 虎党の自分としては、はっきり「拒絶反応」を起こすのだがこれまでの経緯を思い起こすと「読売星野」の実現が真実味を....... [続きを読む]

受信: 2005.09.05 12:06

« 青山ブックセンター自由が丘店復活! | トップページ | 業務連絡 »