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2005.11.22

「地に根ざした理論」再び

前回掲載した『データ対話型理論の発見』の書評ですが、某所でもう少し詳しく書く機会があったので、こちらにものっけておきます。ご参考まで。

社会学研究では偉大な先人たちがつくった理論の検証に重点が置かれ、新しい理論の創出がないがしろにされている――。『データ対話型理論の発見』はそんな状況を批判し、あらかじめ設計された統計的調査等だけではなく、インタビューやテーマに関連する小説、手紙などさまざまなデータを獲得し、それらを比較、対話することによって、新たな理論を発見することの重要性を主張している。原著のタイトルが”The Discovery of Grounded Theory”、すなわち「データに根ざした理論の発見」であることを見るだけでも、思弁だけで物事を認識し構築された、現実には適合しない”Grand Theory”(誇大理論)に対し、強く異を唱えている著者の立ち位置がわかるだろう。

では、「データに根ざした理論の発見」をどうやって行なうのか。そのポイントになる主要なアイデアが「理論的サンプリング」、「絶えざる比較法」、「理論的飽和」である。
○「理論的サンプリング」
「理論を産出するために行なうデータ収集のプロセス」を指す。これは統計的サンプリング(無作為抽出法)と対比してみるとわかりやすい。すなわち、理論的サンプリングはカテゴリーとその特性を発見し、それらの相互関係を一つの理論としてつくり上げるために行なわれるのに対し、統計的サンプリングは各カテゴリーにおける人々の分布状況の正確な証拠を得るために行なわれる。理論的サンプリングは「理論の産出」が目的であるから、前述したように扱うデータは必然的に広範かつ多様なものとなるわけだ。
○「絶えざる比較法」
体系的に理論を産出することを目的に、データ収集とコード化、比較・分析を同時に行うこと。具体的には、次の四段階となる。
 ①各々のカテゴリーに適用可能なできごとを比較する段階。
 ②複数のカテゴリーとそれらの諸特性を統合する段階。
 ③理論の及ぶ範囲を限定づける段階。
 ④理論を書く段階。
○「理論的飽和」
あるカテゴリーの特性をそれ以上発展させられるデータがもう見つからない状態のこと。ある一つのカテゴリーが飽和してきたら、後はカテゴリーに関して新たな集団へ向かい、そこでの飽和を目指す。

また、著者はデータ対話型理論が実践的に適用されるためには、次の四つの特性を持つ必要があると強調している。
 ①理論が活用される特定の対象領域と緊密に適合していなければならない。
 ②その特定の対象領域に関心を持つ一般の人々にも平易に理解されなければならない。
 ③特定領域内の、さまざまな日常生活状況に対して十分適用可能な一般性を持ち合わせなければならない。
 ④その理論を用いたものが、時と共に変化して行く日常生活状況の構造と展開を部分的にせよコントロールできるようにならなくてはならない。
見方を変えれば、この4つの特性がデータ対話型理論の存在意義であり、最終的に目指すべき地点といってもよいだろう。

さて、グラウンデッド・セオリーに対する筆者の感想は次の通りである。
○思いもよらぬ理論展開への発展が期待できると同時に、内容のリアリティや現実の場面での有用性をも担保する、極めて魅力的な方法論。ジャーナリズムへの応用も考えられよう。
○複数の人間の観察でデータを集めることにより、単独では難しい多様な視点の獲得と分析が可能になる。
○一方、コーディングにおける作業の膨大さ、データの切片化でコンテクストを解体することによる重要な要素の見落とし、そして「理論的飽和」という概念は研究活動には適用できても、期限の縛りの厳しいビジネスにおいては適用しにくい、といった問題がある。
○何より、粘り強い思考とデータ収集作業を必要とするため、とっつきやすさから安易に手を出すと、中途半端な結果に終わる危険性が高い。

今後は実際にグラウンデッド・セオリーを用いて執筆された論文の読み込みを通じさらに理解を深め、現在の研究テーマに適用できるかどうか検討していきたい。

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2005.11.13

「誇大」理論と「地に根ざした」理論

某所の課題図書として読んだ『データ対話型理論の発見』(B.G.グレイザー A.L.ストラウス 新曜社)は、理論の創出を奨励した社会学の古典的名著、だそうです。社会学研究と縁遠い人間には記述がかなり難解かつ、原著が出版された時代の状況がよくわからないため、正直、どこまで理解できていのか心許ないのですが、とりあえず以下に内容をまとめてみますた。


社会学研究においては、偉大な先人たちがつくった理論の検証に重点が置かれ、新しい理論の創出がないがしろにされている…。本書はそんな状況を批判し、あらかじめ設計された統計的調査だけではなく、インタビューやテーマに関連する小説、手紙などさまざまなデータを獲得し、それらを比較、対話することによって、新たな理論を発見することの重要性を主張する。原著のタイトルが”The Discovery of Grounded Theory”、すなわち「データに根ざした理論の発見」であることを見れば、思弁だけで物事を認識し構築された、現実には適合しない”Grand Theory”(誇大理論)に対し、強く異を唱えていることがうかがえよう。

では、「データに根ざした理論の発見」をどうやって行なうのか。そのポイントになる主要なアイデアが「理論的サンプリング」、「絶えざる比較法」、「理論的飽和」である。理論的サンプリングとは「理論を産出するために行なうデータ収集のプロセス」のこと。このプロセスを通じ、分析者はデータ収集とコード化と分析を同時に行なう「絶えざる比較法」を実践し、あるカテゴリーの特性をそれ以上発展させられるようなデータがもう見つからない「理論的飽和」が起きるまで継続する。

これを超訳すると、関連のある情報ならば積極的にデータとして採用し、それらをさまざまな角度から突き合わせ、新たなアイデアの産出が尽きるまであれこれ考えていく、ということになるだろうか。前述したように、本書はろくにデータとの対話を行なわず理論検証に偏った社会学のあり方に対するアンチテーゼとして記されたが、集めた情報を読みやすく並べるだけに終始しがちなライターという仕事にとっても、現実に適合した深い分析と理論の創出を可能にする有用な道具となるかもしれない。

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2005.11.07

古本“だけ”の街でよいのか?

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先週の神田古本まつりは相変わらずの賑わいでありましたが、やはり客層はオッサンが多いですな。もう少し若い人や女性に対して訴求できないと、将来的に厳しいものがあるんじゃないでしょうか。必要なものをさっさと購入する機能に関しては、いくら世界一の古書店街といってもネットにはかなわないわけだし、まして客との情報格差を利用して古本を高値で売りつけるだけの商売なんて、先行き暗いだろうと思います。

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そもそも神保町の古本屋の店員を見ていると、寝ぐせつけたまま店に出てくんじゃねえよ、とか、もう少し小ぎれいな服装をしたらどうよ、客商売なんだからさ、と仕事に対する根本的な姿勢に疑問を持つことがしばしば。ただ一方で、カフェっぽい内外装の洒落たお店も見かけるようにはなってきて、この街でも時代の流れに合わせ、変化は起こりつつあるのかなと感じた次第。重厚な店構えで知られる北沢書店の1階も、ゆったりとした空間に絵本や美術書を並べた「BOOKHOUSE」に改装されておりました。実物を手にとって見たい系の本を中心に揃えているのが肝なんだろうな、きっと。

それから最近、おいらも制作のお手伝いをした神保町のオフィシャルサイト「BOOK TOWN じんぼう」がオープンしました。ほぼすべてのお店を網羅した充実の古書店ガイドや、連想検索を駆使した「ジンボウナビ」など、楽しめる情報と機能を満載していますので、神保町や古書に興味のある方はぜひぜひお立ち寄りくださいませ。

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2005.11.06

パリ・バンリュー

フランスの暴動がずいぶん長引いています。気になって調べてみたら、ちょっと興味深いデータがありますたので、他の主要国の数字も含めメモっときます。

外国人または外国出生者の失業率(1998年)
      自国人男  外国人男  自国人女  外国人女
フランス  9.6      22.0    13.5     26.8
アメリカ   4.3       4.9      4.5       6.0
イギリス  6.8      10.7      5.2       9.4
ドイツ    8.5       17.3      10.1      15.9

労働力人口に占める外国人の比率(1998年)
フランス  6.1
アメリカ 11.7
イギリス  3.9
ドイツ 9.1

これらのデータの出所は『国際労働比較2005』労働政策研究・研修機構で、OECD ”Employment Outlook, June 2001”がその元ネタ。こうしてみると、フランスにおいては2ケタ近い自国人の失業率がまだマシに見えるほど、外国人の失業率が惨憺たる水準にあることがわかります。そりゃ暴れたくもなるだろう、というぐらい、外国人の置かれた就業環境は厳しい。

職という側面からみると、フランスの高失業率そのもの、自国人と外国人との絶望的なまでの格差、それから若年失業率の高さといった要因が、今回の暴動の背景にあるようです。仏政府がとりあえず騒動を抑えめたとしても、これらの要因を解決できない限り、火種はくすぶり続けるのでしょう。また、ドイツもフランスと似たような傾向にある一方、アメリカは仏独ほど自国人と外国人の間に差はない。この辺を比較してみたら、外国人の受け入れについて有意義な見解が出せるかもしれませぬ。

なお、タイトルの「バンリュー」についてはこちらを参照。

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2005.11.05

ちょっとイメチェン

デザインを変更してみますた。
ちょっといろいろ試したかったもんで。
そんなわけで、文句があっても却下。

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