« バルトで生扉を開けたら朝日が沈んでいた その2 | トップページ | バルトで生扉を開けたら朝日が沈んでいた その4 »

2006.02.20

バルトで生扉を開けたら朝日が沈んでいた その3

毎度のことですが、だいぶ間が空いてしまったなorz
長々と小難しいことを書き連ねてきましたが、何を言いたかったかというと、言葉はそのデノテーション(言葉の辞書的意味)の上に、コノテーション(言葉が喚起する個人的、情感的状況的含意)が乗っかって本来の字義とは別の伝わり方をしていく、ということです。要するに「言葉にはいろいろな意味が覆いかぶさってくる」。

で、言葉に対するこういう見方が面白いなと思ったのは、ちょっと前から気になっていた事象が、モードの体系をヒントに考えてみたら、すっと理解できたからなのですた。

ちょっと前から気になっていた事象というのは、ライブドアの堀江貴文前社長が昨年の暮れぐらいに発言していたことです。現物が手元にないので正確でないのですが、彼は雑誌のインタビューで「買収した会社に『ライブドア』というブランドを被せるとメジャーな存在になる」という意味のことを語っていました。
つまり、買収した企業を社名変更し、「ライブドア」というブランドを新たに冠するとあら不思議、急に急成長企業グループの一翼を担うピカピカの会社に見えてくるというわけです。近いところだとジャック・ホールディングス→ライブドアオート等がその例ですな。
ちなみに、ジャック・ホールディングスはこの数年連続で最終赤字を垂れ流してきた、経営的に相当危うい企業。ところが、テレビでホリエモンこと堀江前社長が店舗の前で「回転回転回転回転ライブドアオート」と自ら回り続けると、確かに何となくピカピカの会社に“見えた”のは不思議でありました。そんなんアリかよ、と。
up047233

なぜ、このような現象が起こったのか。それは、コノテーションの概念を使うと、うまく整理がつきます。当時、ライブドアとホリエモンという言葉には「既得権益への挑戦者」、「若くて成長著しい会社と経営者」、「何か面白いことをやる」といったコノテーションを持っていました。それを嫌悪する層がいたのも間違いありませんが、総合的に見ればプラスの印象を持つ人が多かったと思います。だからこそ、テレビ番組のゲストにあれほどお呼びがかかっていたのでしょう。
そこに気が付いたライブドアと堀江前社長はそういった機会をフルに利用してマスメディアでの露出を増やし、「ライブドア」と「ホリエモン」の認知とプラスのコノテーションを拡大していった。そうした努力の結果、赤字を垂れ流し続けているボロ会社でも「ライブドア」というブランドをぺタリと貼り付けた途端、何か新鮮な感じがするようになったわけです。中身は大して変わってなくてもね。

ところが、堀江前社長をはじめ経営幹部が逮捕されてから、ご存知の通りライブドア関連企業ではグループを離脱しようとする動きが始まりました。「ライブドア」ブランドイメージが逆流を始めたわけです。でも、ライブドアのブランドで売ろうとしていた連中が、いまさら「別個の企業」であることを強調したってお笑い種でしかないですが。
http://www.livedoorauto.com/ir/pdf/news/20060118itirenn.pdf

このような悲喜劇が起こったのは、ライブドアの「現実のコード」あるいは「デノテーション」と「コノテーション」の間にあまりに大きな乖離が生じていたからではないでしょうか。つまり、「既得権益への挑戦者」「若い成長企業」といった側面だけに基づいて、ライブドアのコノテーションはプラス方向に膨らまされてきました。しかし、実際には粉飾決算等の違法行為や、資本市場と投資家を欺くような行為で資産を膨らませていたという致命的な欠陥を含んでいた。すなわち、本来のライブドアの現実、デノテーションはプアーだった。それが一般に広く周知された結果、ライブドアのコノテーションは一気にマイナス方向へ転換したというわけです。

ここから導き出せる教訓は、実体から欠陥や瑕疵を隠したまま都合の良い側面だけを取り出してコノテーションを拡大させていくブランド構築は、欠陥がバレたとき一気にマイナスへ逆転するリスクを負うということ。平たく言えば、ゴマカシのイメージ戦略はやがてしっぺ返しを食らうということであり、揺るぎないブランドを確立するためには現実のコードをしっかり作り込む必要がある、との指摘ができるでしょう。

|

« バルトで生扉を開けたら朝日が沈んでいた その2 | トップページ | バルトで生扉を開けたら朝日が沈んでいた その4 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: バルトで生扉を開けたら朝日が沈んでいた その3:

« バルトで生扉を開けたら朝日が沈んでいた その2 | トップページ | バルトで生扉を開けたら朝日が沈んでいた その4 »