バルトで生扉を開けたら朝日が沈んでいた その4
前回、「都合の良い側面だけを根拠にコノテーションを拡大させていくブランド構築は、欠陥がバレたとき一気にマイナスへ逆転するリスクを負う」と書きました。要するに、根拠レスなイメージ戦略はそのうちしっぺ返しを食うという、当たり前っちゃ当たり前の話ですね。でも、けっこうな知名度のある企業でも、そうした試みが堂々と行われているのが現実です。
実例を見ていきましょう。
「ジャーナリスト宣言。」by朝日新聞
「私たちは信じている、言葉のチカラを」というコピーとは裏腹に、インパクトの強烈な映像をづらづら流すCMは俺たちを笑わせたいのかという問題はさておき、上記のリンク先のページには、下のほうに小さく「これまでの経緯」というリンクが貼られています。
こいつをたどっていくと、「信頼される報道のために」と題したページが現れます。そこに掲載されているのは昨年、朝日新聞が起こした虚偽メモ問題とNHK改変問題に関する報告と、「信頼回復へ抜本改革」という文章。そういえば、武富士から編集協力費で5000万円もらっておいて、広告主のクレジットを出していなかった問題もありましたな。ここに説明があります。
この件は問題の多い企業に広告ページではなく、編集ページをカネで売ったってことになるわけで、新聞社としての存在意義を問われる事態のはずですが、「不手際」の一言で済ませているのが素晴らしい。「今回のことを教訓に、編集タイアップのあり方などの見直しにとりかかります」と書いておきながら、どう見直したのか追加報告がないのもお見事です。
話を戻すと、どうも今回のジャーナリスト宣言は、HPの構成を見る限り「これまでの経緯」を受けて「抜本改革」を行い、「信頼される報道」を取り戻すためのキャンペーンのようです。でも、CMや広告を見て、その意図を理解できる人はどれだけいるでしょーか?
???、という人が殆どだと思います。だって「これまでの経緯」と「抜本改革」が全然伝えられていないんだから。よっぽど自らの恥をさらすのが嫌なのか。ここに改革策の内容が記されていますが、内容は薄い。前述した武富士問題で見直し策の経過報告がないことを見れば、これが実行されるかどうかも怪しいもんです。
内実が伴わない上滑りのキャンペーンは、信頼を取り戻すどころか嘲笑の対象です。自らの問題に本気で向き合わない限り、この新聞社は信頼を失い、朽ち果てていくだけだと思います。
これ、うまいなぁ。
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