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2006.03.10

ココロ愚

「顧客満足度No.1」を目指すとトップが高らかに宣言するニフティのブログサービス、ココログは昨年11月、従来から存在する有料版より機能の多い無料版「ココログフリー」をリリースするという蛮勇をふるった行動で、スタッフブログに既存ユーザーから怒りのトラックバックをくらいまくるという微笑ましい出来事がありました。

ココログフリーは強制的に広告表示され、既存版は追ってバージョンアップするということでしたが、それにしても、ねぇ…。ちなみに私は毎月998円払う「ココログプロ」のユーザーです。はぁ。

そして3月9日、当初10時~15時の予定で実施されたメンテナンスが夜まで延長された末、終了後も既存ユーザーが管理画面にログインできない事態が発生しました。このトラブルはついさっきまで続いたようです。メンテナンスをした後のほうが使えなくなるとは、さすが東証のシステムを構築した富士通の子会社だと突っ込まれたいのでしょうか。ここに障害情報ブログがありますが、短時間ですごいコメント数ですね。

まぁ、ブログが一日使えなかっただけと片付けることもできますが、率直に言って、最近のニフティは失態続きです。なぜ既存ユーザーの怒りを買うのがわかりきった経営判断を下したのか。なぜ富士通の子会社でありながら技術的なプアーさを露呈してしまうのか。考察対象としては興味深い。ちょっと考えてみたいと思います。

まずココログフリーをリリースする際のアナウンスを見ると、サービス立ち上げを誇らしげに語った後、既存ユーザーへ次のようなメッセージが書かれています。

今回のリリースで残念だったのは、既存のベーシック/プラス/プロを、同時にバージョンアップできなかったことです。ギリギリまで頑張ったのですが、どうしても間に合わない部分が出てきてしまい、リリースを2006年3月に延期させていただくこととしました

ギリギリまで頑張った割にバージョンアップは4ヶ月も先かい、というお詫びの稚拙さはさておき、逆にこの文面からは既存ユーザーを4ヶ月待たせてでも無料版をリリースしたかったことがうかがえます。

その理由を考えると、従来とはブログの位置づけが変わったことが指摘できると思います。つまり、以前はプロバイダーが会員を囲い込むためのサービスだったものが、今はページビューの多さが容易に価値へ転換できるようになり、広告モデルが新たな収益源として期待できるようになった。ところがニフティはページビューの点でヤフーや楽天には引き離される一方、ライブドアやFC2といった新興企業が追い上げてきたため、一刻も早くニフティ会員以外のユーザーにも門戸を広げる必要に迫られたというわけです。Web2.0への流れもあせりを助長しているかもしれませんね。
参考:ネットレイティングス視聴率ランキング
参考:「ヤフーがなぜ今、Blogか」ITmedia

で、今回のお粗末なメンテナンスによる混乱も、サービスの重心が既存版からフリー版に移ったことが影響しているのではないかと私は推測しています。要するに、経営リソースの配分が既存版には十分に回されていないのではないか、と。

ビジネスモデルの変更によって既存ユーザーが切り捨てられた、とまでは言いませんが、優先順位が低くなっているのは事実が示しています。ビジネスの変化で既存客の優先順位が低くなる場面はまま起こるものですが、相手が納得するように進めなければ信頼を失い、ブランドは失墜します。ニフティの最大の問題は「顧客満足度No.1」などと言いながら、この点をまったくないがしろにしていることでしょう。

情報をオープンにして、ユーザーと一緒にサービスを作っていくスタンスの若いネット企業の場合、そんな姿勢がユーザーの共感を集め、多少の不具合が出ても応援されています。かつてのニフティもそんな企業だったと聞きますが、残念ながら老いて感度が鈍ったのか、あるいはさすが600億円企業というべきなのか。そういえば、ココログフリーでユーザーの批判が殺到した後、古川社長が自身のブログで謝罪したのは6日も後のことでした。

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