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2006.06.29

衆知プレイ

 オルフェウス室内管弦楽団は「指揮者のいないオーケストラ」として知られている。一般に、オーケストラの組織は指揮者を頂点としたヒエラルキー構造であるのに対し、オルフェウスは指揮者を排除し、その役割と責任をオーケストラのメンバーで分担する。

 指揮者がいないでどうやって全体をまとめるんだ、という気もするが、指揮者不在にも関わらずその演奏は見事なアンサンブルを奏で、グラミー賞の栄誉にも輝いている。まだ聞いたことないんですけどね。で、オルフェウスが具体的にどんな運営をしているのか知りたくて『オルフェウス・プロセス』(ハーヴェイ・セイフター+ピーター・エコノミー 角川書店)を購入。

 オルフェウス創設の目的は全員が創造性を自由に発揮し、音楽の指揮権を持つ新しいかたちのオーケストラをつくることにあった。しかし個々のメンバーが積極的に音楽づくりに参画することは、やはり相当なコミュニケーションコストがかかり、初期は試行錯誤が続いたようだ。

 この難問をクリアする方法として確立されたのが「オルフェウス・プロセス」で、それを機能させるポイントは責任と役割の明確化とリーダーシップの流動性、メンバーのコミュニケーションスキルといったところにある。

「オルフェウス・プロセス」は企業組織への応用も行われているそうだけど、指揮者が独裁的な権限を持つ組織と比べ、このやり方はかなり手間ひまがかかり、面倒くさい。オルフェウスが成功したといっても、追随するオーケストラがまだ見当たらないのは、そのためもあるんだろう。

 でも、優れた能力を持つ人びとの知を結集させると、相当面白いものが出来上がるのも確かだ。最近、某所の知識創造の方法論演習に参加して、心からそう思う。今後ビジネスに創造性が要求される場面が増えるであろうことを考えれば、ざざっと目を通しておいて損はない、かな。

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