見えざるものを観る
質的研究法に興味を持ち、グラウンデッドセオリーアプローチをかじろうと『データ対話型理論の発見』を読んでみたものの、その難解さに四苦八苦したり、具体的な方法がわからず混乱したりした人は相当いるのではないだろうか。私もそんな一人です、はい。
そこで購入したのが『質的研究方法ゼミナール グラウンデッドセオリーアプローチを学ぶ』(戈木クレイグヒル滋子編 医学書院)。
本書はグラウンデッドセオリー提唱者の一人にトレーニングを受けた編者が主宰するゼミを紙上で再現し、読者がバーチャル体験できるよう企画されたものだ。インタビュー法、参加観察法によるデータ収集からはじまり、ラベル付け(コーディング)、カテゴリーのまとめとその関連づけなどについて、具体的かつていねいな解説が行われている。
実際の授業の様子を紹介しながら、学生が作業の中でつまづいた点や、それをどうやってクリアしていったかという部分まで書き込まれており、実践的でわかりやすい内容になっている。これからグラウンデッドセオリーにチャレンジしようとする人には必携の一冊になるだろう。
ただし、なぜか本書はグラウンデッドセオリーが編み出された背景やその目的とするところ等々、手法の全体像が提示されていない上、手法の解説についても「理論の創出」という最終的なゴールにたどり着く前に終わっていて、尻切れトンボの感があるのが残念。
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コメント
とっても勉強になりました。先輩は修論追い込み中ですよね。頑張ってくださいp(^^)q本は早速買い物かごへ入れましたよ。今は休学中ですが、回り道しながら仕上げていこうと思っています。今月末、千葉県のさくらへ行ってきます。その後、原稿は本になりましたか(^^)
投稿: みゆっち。 | 2006.10.09 19:59