老後がこわい
深夜、とつぜん背中に激痛が走り、こりゃ意識がなくなる前に119しないとまずいと思い、自分で救急車をよんだことがあります。結局、腎臓でちょっと大きめの石が動いただけで、命に関わるようなものではありませんでしたが(汗)。ひとりで暮らすということは、誰にも気付かれぬままこの世を去るリスクを背負っているのだと痛感しました。
しかし、そんなことは「ひとりで老いる」という問題の一端に過ぎない、ということが『老後がこわい』(香山リカ 講談社現代新書)を読むとよくわかりま す。意外と困難な高齢者の住まいの確保、定年まで「あと何年」が具体的な実感として見えてきたときの焦り、仕事と収入の確保、親の介護と死の問題、自分の 葬式と遺品の整理、遺骨の処理等々…。本書の内容はひとりで生きる女性を想定したものですが、ひとりで生きる男性とも多くの部分が重なると思います。
私自身はこうした問題に将来、直面することは自覚していても、今までは「縁起が悪い」とやり過ごしていたのが正直なところ。著者もその姿勢は同様で本書のテーマは「考えたくない」問題ではあったけれど、編集者との約束ゆえ書き進めていったそうです。そりゃそうだよなぁ。
著者は「すべての問題はいま過渡期にあり、どんどん変わりつつあるのだから、今からあれこれ心配したって、なるようにしかならないのだ」と記していま す。もちろん、今際の際まで納得のいく人生を送り、死後に遺体の処理で大家に迷惑をかけるなんて事態を起こさないためには、いろいろ準備しておく必要があ るのは間違いありませんが、あまり悩みすぎたところで明日も老後もなるようにしかならない、と。
それなりの準備と、結局はなるようにしかならないという諦観。ひとりで生きていくのであれば、少なくともこの2つを合わせ持つことが必要なのでしょう。
30代後半に差し掛かった独り者にとって、あまり考えたくないけど考えなければならない現実を突きつけられる一冊です。
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コメント
私にとっては本当に切実な問題。読んでいない本だけど、何が書いてあるか大体想像が・・・背筋がサムいですね。。。読んでみます。はい。
投稿: うっきい | 2006.12.07 19:32