集中力関係数冊
いろいろあって、どうも最近ぼさっとしている時間が増えまくりである。そんなわけで「集中力」や「スピードアップ」に関する書籍を数冊購入。
『とにかく短時間で仕事をする!コツ』松本幸夫
1年で10刷以上版を重ねているということでチョイス。仕事を素早くするコツがいろいろ書かれているが、その中核となる考え方は仕事にはタイムリミットを必ず設けること、つまり意図的に〆切をつくって自分を追い込むことにある。最初から残業すればいいやと考えたらダラダラして生産性が格段に悪くなるといった話は、まあその通りっすね。
『脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める』築山節
ogishin氏の書評を読んで購入。こちらでも脳の基本回転数を上げるには時間の制約が必用と、やはりタイムリミット設定の重要さを説いている。ここでいう脳の基本回転数とは、要するに頭の回転の速さのこと。これは一定の基本回転数が先に決まっていて、時間をかければそれだけ多くの仕事ができるわけではではないという。また、脳機能を向上させるには自分一人の力だけではできず、自分を評価してくれる人や問題点を指摘してくれる人など、周囲にさまざまな人が揃って初めてバランスの取れた成長が期待できるということで、人との出会いと人間関係を大事にするよう勧めている。面白い。
『仕事は、かけ算。 ~20倍速で自分を成長させる 』鮒谷周史
集中力とはちょっとずれるが「20倍速」ってことで購入。いわゆる成功本であるが、「成功ノウハウ」ではなく「成功者の思考体系」に焦点を当てたという切り口がユニーク。中身もよくまとまっている、新味はそれほどないけれど。
この辺の本をみていくと、集中力を高め仕事を素早くこなすには時間を意識することが重要ってことらしい。確かに試験前日になると嫌でも勉強に集中できたように、時間的にせっぱ詰まることが集中力の強化につながるという話は実感としてもよく理解できる。ただ、今俺が知りたいこととはちょっとズレておりまして…。なんといえばよいのだろう、剣豪が平常心でありながら命がけの勝負に集中しているような、知りたいのはそんな集中力のあり方なのであった。血管浮くまでテンションをあげて物事に没頭するような集中の仕方だと、長期的にはきついと思うのですよ。
で、そんな集中力のあり方について触れた本はないかなと探していて、これが近いかなと思ったのがスポーツ・ドクター辻秀一氏の『仕事に活かす集中力のつくり方』。本書は「フロー状態」への心の導き方がテーマである。フロー状態とは「質のよい柔軟なセルフコンセプト」を自らつくり、「大きく安定したセルフイメージ」を導き出せる心の状態を指す。ちとややこしいですね。
もう少し詳しく記しておくと、「セルフコンセプト」とは潜在意識の中にある自己概念のこと。人間はいつも自分をセルフコンセプトにあった人物に仕立てようとして行動するもの、らしい。だからしょぼいセルフコンセプトをつくってしまうと厄介なことになる。例えば「俺はツイてない」というセルフコンセプトが出来上がってしまうと、ツイてない自分を演出して、やっぱり俺はツイてないという状況に居心地よさを感じてしまうわけだ。こんな風に自分の足を引っ張るようなセルフコンセプトを持っていると集中力が阻害されてしまう。だから「質のよい柔軟なセルフコンセプト」を自分でつくりだすことが大切になってくる。
一方、「セルフイメージ」とはその瞬間、瞬間の心の状態、コンディションのことである。セルフイメージというと自己イメージのことを想起する人が多いと思うが、本書ではこのような定義をしている。(本書は平易な文章で書かれていながらどうもわかりにくいところがある。その理由の一つはこの辺の言葉の定義にあるが、それはさておき)心のコンディションであるセルフイメージが大きく安定していると、集中力、ひいてはパフォーマンスによい影響を与えることは言うまでもない。
ということで、本書は「質の良い柔軟なコンセプト」をつくり、「大きく安定したセルフイメージ」を導き出し、集中力を高めて最高のパフォーマンスを発揮する方法について、具体的なやり方を提示していく。それらの方法を強引にひと言でまとめれば、自分自身を自分の意志でポジティブな方向にコントロールするということになるだろう。最近の一流アスリートを見ていると、なるほど彼ら彼女らはこういう訓練を受けているのだなと思わせられる。しかも、それらの方法は一流アスリートにはほど遠い私やあなたでも、その気になればできる範囲のことだ。希望が持てますね。
十分ではないが「集中」というあいまいな概念を整理して、そのコツを誰でも手の届くやり方として提示している点で、本書は評価できる。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント