ヤバイ会計@NOVA
相当売れているらしい『決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 』を読んでみる。
本書は会社を設立しビジネスを立ち上げる中で、一つひとつのお金の動きがどのように財務諸表に反映されるのかをシミュレーションしながら、財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)のつながりを時にしつこいくらいていねいに解説し、大枠で会計の仕組みが理解できるよう構成されています。これは確かにわかりやすい。
別に経理や会計の専門家になろうというわけじゃなく、日々の仕事の中で大づかみに会計が理解できればいいな、という人間は相当数いるでしょう。まあ、おい らがそうです。ところが、財務諸表の解説本は入門用と銘打っていても、なかなか全体像がつかめずわかりにくいものが多い。その点で本書は出色の出来と言え ます。
著者の経歴を見ると、会計士ではなくMBAのコンサルタント。思いっきりわかりやすさに振った記述ができたのは、そのためなのでしょう。
で、せっかくこういう本など読んだので、久々に財務諸表を眺めてみようかと。どの会社にしようと考えて、すぐ頭に浮かんだのは給料遅配や家賃不払いなどで何かと話題のNOVA。いや、金欠気味の会社はどんな風になるのだろうと思いまして。
会社HPから前期末と今期第一四半期の決算情報を落としてみると、なぜかCF計算書がついてない。それでEDINETへ飛んで前期の有価証券報告書をダウンロード。で、両者のバランスシートを比較してみると、たった3ヶ月で約17億円の現預金、56億円の流動資産、90億円の資産減少と、資本金50億円の会社としてはバケツの底に穴が開いたかのような資産の減り方をしています。以下、単位は千円。手計算なので間違いあったらご指摘下さい。
平成19年3月末 平成19年6月末 減少額
現金及び預金 4,067,375 2,296,376 1,770,999
流動資産合計 18,730,061 13,098,514 5,631,547
資産合計 55,269,971 46,207,800 9,062,171
一方、当期純損失を24億円計上したため、株主資本も同額減っています。(←財務3表一体理解法の成果)
平成19年3月末 平成19年6月末 減少額
利益剰余金 -3,909,777 -6,342,940 2,433,163
株主資本合計 2,809,989 376,826 2,433,163
純資産合計 2,824,253 350,440 2,473,813
純資産が大幅に目減りしたため、自己資本比率は前期末の5.1%から0.75%へと異様な数値に低下しています。債務超過目前! 同社がヤバイ状態なのは今さら言うまでもありませんが、これは思った以上に瀕死状態だなあ。
と思ったら、ちょうど資金調達のニュースが。すべての予約権を行使した場合は64億円調達できるそうで、目論見通りにいけばしばらく息をつけそうですが、単純に3ヶ月で17億円キャッシュが減ったことを考えると楽観はできません。早く止血できなければ単なる延命措置にしかならないかも、です。
もうちょっと調べたいのですが、そろそろ寝なければ。
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コメント
9月期は、前年度比10%~20%ほどの収入しかなかったそうなので
バケツの穴は、その時と比べてさらに巨大になっている模様。
南無南無・・・
投稿: tamtam | 2007.10.19 18:17