« ヤバイ会計@NOVAのつづき | トップページ | 3勝1敗 »

2007.10.18

NOVAマジック

あわわ、あわわ。

 すっかり間が空いてしまいましたが、NOVAの件。ここまで記述した通り同社の現状はキャッシュがみるみる減っていくわ、債務超過目前だわで「明るい未来が見えません!」状態です。資金繰りに相当窮している様子も色々なニュースからうかがえます。先月、猿橋社長がコンサルティング会社に預けた株券が返却されないというトラブルが報じられましたが、同社がジャスダックに提出した改善報告書ではその事情を次のように記しています。

 平成19年7月29日に株券貸借取引によって7億5千万円検討の資金調達が出来ることになりましたが、契約に際し、1200万株の株券を新たに預けるよう要求されました。
 以前の1000万株をその一部に充当するものだと思いましたが、月末までにどうしても資金調達が必用であり、月末に間に合わせるために他に方法がなかったため、以前の1000万株を早急に返却することを条件に、新たに1200万株を差し入れました。   http://www.nova.ne.jp/ir/pdf/kaizen_houkokusyo_071005.pdf

 また、先日同社が増資のニュースを発表しましたが、どうもこれはかなり悪い筋の話と言われています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071014-00000047-san-soci

 50%前後の市場シェアを誇る業界のガリバー、NOVAがなんでこんな事態に陥ったのか、ちょっとまとめてみました。足りない点があったら補足していただけるとありがたく。

1 もともと利幅の薄い収益構造
 後発のNOVAはディスカウント攻勢をかけました。1レッスン1200円は業界水準の3分の1以下との話もあります。一方で、広告宣伝費をガンガンつぎ込むため、販管費が高い。そのため最後の黒字決算だった平成17年3月期でも売上高営業利益率は0.6%。自己資本利益率も2.2%でした。一般に、商品仕入れの不要な教育業界は利益率が高い傾向にありますから、もともと収益性が弱かったと言えるでしょう。

2 急速な多店舗展開の大失敗
 NOVAは平成16年10月に出店計画を大幅に見直し年間400の新店開発を行うと決定しました。この決定を受け、1年間で約300店を新規出店。平成16年3月末は623校だったものが平成18年3月末には994校になりました。
 しかし、約600店規模の会社が1年でその半分にあたる300店も出店したらどうなるか。まず、店舗運営を管理できるマネージャー層が足りなくなり、サービスが劣化するのは火を見るより明らかです。NOVAの場合、講師の確保も問題になるでしょう。綿密に出店地の選定を行わなければ、店舗間のカニバリズムが起こるのも予想される事態です。当然のように平成18年3月期決算は赤字に転落。そして後述するように恐るべき事態が…。

3 経営陣の無能さ、経営体制の脆弱さ
 同社の無茶な拡大戦略は、会社の意志決定が硬直的であった帰結ではないかと思われる節が多々あります。多店舗戦略が失敗し、赤字に転落した平18年3月末期の同社の有価証券報告書をみると次のように書かれています。

 12ヶ月連続で、拠点数の増加と逆行する形で売上が前年同月比で前年割れするという現象が起き、この原因の分析と発見に手間取ったことから、当期の売上が計画に対して未達に留まった原因となりました。

 これが何を指しているかというと、平16年から18年にかけて300店以上増やしたのに、なんと売上高は706億円から698億円に減少したというある意味驚愕の事態のことです。恐るべき、NOVAマジック!

 売上はどこに消えたかって? そんだけ出店すればカニバるに決まってんだろ! そこまで盛大に食い合うのは予想外としても、出店立地は全部駅前なんだからさ。そもそも事前検証しなかったのかよ(三村風)。いずれにせよさっさと出店止めろ、と普通のビジネスマンなら思うわけですが、結局のところ創業経営者にありがちな独裁体制のため、誰も無謀な急拡大路線にブレーキをかけられなかったのではないでしょうか?

4 コンプライアンスの欠如
 NOVAではクーリングオフが可能なのに「認められない」と虚偽の説明をしたり、中途解約時に受講生に不利な清算方法を取っていた問題など、解約に際し受講生が前払いした授業料を法令違反してでも返さない姿勢が目立っていました。さらに店舗の急拡大で講師が足りず授業を受けたくても受けられない状況が生まれたため、解約をめぐるトラブルは増加。国民生活センターへ寄せられたNOVAへの苦情が3ヶ月で1800件を超えたと報じられる事態に陥りました。

5 生徒のNOVA離れ
 平成18年3月末の生徒数47万5000人が、1年後には41万8000人へと大幅に減少。一連のトラブルが大きく報じられたことによるイメージダウン、店舗数の減少、そして厚労省から教育訓練給付金制度の指定を取り消されたため、今後も逆雪ダルマ式に生徒数は減少するものと思われます。

 最近のNOVAの動向を見ていて絶望的だと感じるのは、資金繰りをめぐるドタバタに加え経営改革委員会が機能していないことです。同社では6月28日に経営改革委員会の設置し、1ヶ月後をメドに現状や原因の分析についての中間報告を行い、2ヶ月には最終的な報告を行うことを予定しているとアナウンスしましたが、残念ながら続報はありません。それどころではなくなってしまったのかもしれませんが、これで世の中の信用を回復する重要な機会を失ってしまいました。

 今後は経営者が望んだ姿とはまったく別の形の“新星爆発”となる可能性が高そうです。

|

« ヤバイ会計@NOVAのつづき | トップページ | 3勝1敗 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: NOVAマジック:

« ヤバイ会計@NOVAのつづき | トップページ | 3勝1敗 »