似て非なるもの
ビジネス関連の取材をしていると「リクルート出身です!」という人と出会うことが少なくない。ただ、その実態は社内で伝説の存在となっているような人から、契約社員半年くらいしか在籍していなかったような人までいるようで。
本来なら出身者とは言えないような経歴の人が自称するのは、リクルート出身と言えばハクがつくと思っているからに他ならない。先日もちょっと名前の売れてきた自称出身者の若手経営者に対し、長年リクルートに在籍した人が「そんな名前聞いたことがない」と追求したら、やはり1年も在籍していなかったと白状したと聞いた。
というように、ビジネス社会ではわりとリクルート出身という響きにはブランド的な価値があると思われている。実際の個人はとてつもなく優秀な人からなんだコイツな人までいろいろだが、各方面にすぐれた人材を輩出しているという点で他に類をみない会社であることは間違いない。
で、そんなリクルートがスタッフサービスを買収するというニュースが報じられた。
手元の日経市場占有率2007年度版によれば、人材派遣業界にけるスタッフサービスのシェアは12.5%でダントツの1位。以下テンプスタッフ8.5%、アデコ8.0%、パソナ7.3%と続き、リクルートグループは7.3%で5位となっている。単純にスタッフサービスとリクルートのシェアを足し合わせると20%近い圧倒的な存在となる。
この先景気が下向き加減になりそうなことや少子化でますます人材確保が難しくなることを考えれば、規制緩和で成長してきたこの業界も教科書通りに再編と集約が進むことは容易に想定される。そもそも、リクルートの人材派遣事業は買収戦略によって急速にシェアを拡大してきた。今回のスタッフサービス買収はその集大成といえるだろう。
ただ、スタッフサービスはリクルートのように人材の獲得と育成にメチャクチャ力を入れてきたというわけではない。最近は社員のサービス残業や偽装請負などの問題も起こしている。要するに、業界ナンバーワン戦略としてはよい買収なのだろうが、組み合わせの相性という点ではどうなのかな、と思った次第。買収が成立した後、どんなマネジメントがなされるのかが興味深い。
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コメント
そうなんだ。僕は、逆のイメージなんですよね。リクルート出身と聞くと、ちと引いてしまいます。ビジネスモデルつくったもんがちというのもわかるのだが、その下で泣いている人たちをいろいろ見て来たので、なんか性に合わないんです。。。
投稿: 4430516 | 2007.12.23 17:57