『驚異の時間活用術』
古本屋で糸川英夫の『驚異の時間活用術』を懐かしさで衝動買い。衝動買いったって一〇〇円ですが。確か糸川英夫の本は、職人稼業のうちの実家でも何冊か置いてあった。本書の初出は1981年で、1985年に文庫化されている。今回購入した文庫版の奥付を見ると1996年第44刷。10年以上にわたってロングセラーを続けていたことがわかる。
30年近く前の本とあって、前提とされているテクノロジーは古くさい部分が多いが、全体的な主張に違和感はない。深い睡眠を心がけ、切れはし時間を有効活用する。会議は定刻と同時に本題に入るようにせよ等々の話しは、最近のこの手の時間管理系にもたいてい書いてあるような印象がある。
で、面白かったのは時間活用術そのものより、時間を有効活用する動機付けとなる部分であった。これは全九章のうち後半の第七章~第九章の部分で、それぞれの章タイトルは「自分の目標をどう立てるか」「目標に到達するための方法」「人生をどう創造的に生きるか」となっている。
なぜ、時間術の本で目標の話しが出てくるのかといえば「もしも目標の選択があやまっていたら、自分に与えられた時間がいくらあっても、まったくむだになってしまう」から。至極ごもっともであります。ライフハック系の本の中には、この点で疑問を感じる本がなきにしもあらず、だな。
目標の選択にあたっては、やり抜かねばならない切迫した状況の中で決めることが大切であり、一番いいのは直接他人から頼まれることだ。しかし、それでは他人頼りになってしまうので、「自分の選ぶ目標を、あたかも他人が自分に頼んだ仕事であるかのように自覚すること」が重要という。
この部分はちょっとわかりにくいが要するに、『この仕事は、おまえがやらなければならない。それがおまえの使命である』と、深く心に決することである」と著者は熱く語る。それに、他人から頼まれた仕事であれば、目標をやり遂げると感謝してくれる人がいて、食っていけるようにもなるということだ。
糸川は飛行機の設計からはじまって、医学や音響学、ロケット開発と多くの分野で活躍したが、基本的に他人から頼まれることがそのスタートになっているという。ロケット開発だけは誰からも頼まれなかったが、それでも「頼んでくれそうな人を捜し出そう」と自分から動いて依頼人を見つけたそうである。
これって仕事をしていく上で、実はものすごく重要なポイントではないですかね。とくに目標を立ててもすぐ忘却の彼方へ飛んでグータラしてしまうタイプの人は、読んでみる価値ありと思った次第。
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