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2008.10.04

新宿駅最後の小さなお店

 日本一の乗降客数が新宿駅というのは誰でも知ってる雑学。で、具体的な数字でいうとどのくらいなんだろうとググってみたら一日平均78万5801人(JR東日本)だそうで、そりゃあんだけゴミゴミするわけですね。

 その新宿駅東口から歩いて15秒で営業しているカフェの店主が書いた『新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには? 』は出色の経営書でした。

 昨今流行りの寿命の短い業態とは対照的に、時間をかけてお店を熟成していくスタイルは、まさに個人店ならではの戦い方。チェーン店の多くは既存店の売上が低迷します。店をオープンした途端、どんどん劣化が進んでいくわけですね。それとは対照的にベルクは時間を味方につけてお店の価値を磨き上げ、新宿という街の文脈の中にしっかりと自分の位置を確立していきます。

 もちろん、それは並大抵の努力ではありません。先日、実際に足を運んでホットドックブランチを食べてみたところ、しっかりした歯ごたえのパンと肉汁が口の中にほとばしるソーセージが非常に美味でした。某チェーンのクソまずいパンとはえらい違い。このクオリティをあの立地で、コーヒーとポテトサラダをつけて525円で出すには相当な経営努力が必要だろうなあと感じた次第です。

 もう一つ、店内を眺めていて面白かったのは、店が一種のメディアになっていた点。定期的に写真展が開催されているほか、ベルク通信という媒体が発行されていたり、ベルクの存続を求める署名活動が展開されていたり(今、ベルクは大家のルミネから立ち退き要求を受けている)。お店の内側は「発信したい」エネルギーが溢れているのでしょう。決して今風のお洒落なカフェではないけれど、雑多で楽しい。客層もてんでバラバラ。まさに新宿の店という趣です。

 小売や飲食店はチェーン店の増大で「全国どこ行っても同じ店ばかり」という状況が生まれています。それは確かにハズレも少ないし便利なんだけど、何かが足りないと感じる。その理由はどこにあるのか、本書を読むとよくわかります。

ベルクのホームページ
ベルクとルミネの立ち退き問題について

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