『医療の限界』小松秀樹
医療ミスで怒った遺族が医師を訴える事例が相次いだ。警察も熱心に捜査し、裁判にもなった。確かに居丈高でろくに患者の話も聞かない医師なんてざらにいるし、資質の低い医師を淘汰したり、医療ミスを究明したりする体制が十分でないのは確かだ。
でも、人間はこの世に生を受けた瞬間から死を定められた存在であり、手を尽くしても助けられない事態は当然起こる。もともと医療行為自体、リスクを伴うものである。手術すれば病巣を摘出できるかもしれないが、体力を落としてむしろ寿命を早めるかもしれない。最新の手術法はデータの蓄積がない分、想定外の事態も起こりやすい。
医師がそうした専門的で微妙な判断を慎重に下して治療にあたっても、人は死ぬときは死んじゃう。それにも関わらず死という結果だけをもって医師を糾弾していたら、真面目な医師ほど医療から離れる、あるいはリスクの高い医療への従事が敬遠され、結果として医療への満足度が低くなるどころか日本の医療体制が崩壊しちゃうよ、と著者は警告する。
本書は現場の第一線の医師がその立場から現状を告発するという地点にとどまらず、医師と患者の摩擦が増える理由を医療に対する認識のズレにあるととらえ、その思想的背景にさかのぼって論じていてけっこう刺激的。具体的な提言やすでに現場で医療をよりよくしようと実行している取り組みの紹介も入っていて、とくに近年の報道で医療者=悪者みたいな印象を持っている人は読んでおくのが吉かと。医師側から見た医療の実態と危機感に触れられます。
<死や障害が不可避なものであっても、自分で引き受けられず、誰かのせいにしたがる。私は、あえてそれを「甘え」と呼びます。しかし、メディアや司法はそれを正当なものとみなし、ときには十分な責任を果たしている医師を攻撃するのです>
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コメント
突然のコメント失礼致します。
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投稿: sirube | 2009.06.21 09:09