例のニュースとご飯を大盛りにするオバチャンの店は…
芸人としての島田紳助は、正直あまり好きではありません。常に漂うナルシスティックな香りや、お気に入りをファミリー化というか系列化していく感じとかがちょっと、ねえ。自分より立場の弱い女性マネージャーを殴って唾吐きかけておきながら「行列のできる法律相談所」をやり続けているなんて、タチの悪い冗談じゃないかとも思うわけです。
そんな俺が島田氏の著書『ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する』を手に取ったのは、例のニュースを知った直後、古本屋の100円棚でたまたま見付けたからでした。
ビジネス書としての本書には、確かにこの人は何軒も店を成功させてきたのだなろうと感じさせるノウハウが書かれています。合理性に基づく常識はずれの重要性や従業員満足を重視した店舗運営、「商売は交換なのだ」という認識に基づく知恵の出し方等々、たまたまタレントが店を出して成功したのではなく、背景に成功を導く要因が存在していることがうかがえます。
著者はビジネスを始めようとしている人に対するアドバイスとして「ラブレターを書いたときの熱い気持ちを忘れないように」と言った直後に、「何かをやりたいという自分の気持ちに振り回されないように」と警句を発します。
「自分の用意できるお金と場所でやるということは、自分の都合でやるということだから、それえではお客さんのニーズに合う可能性が低くなってしまう。失敗の可能性は高くなるということだ」
こうした夢の持ち方と客観的な感覚の両立が、著者がビジネスで成功している大きな要因なのだと思います。
でも、芸人本として本書を眺めると、俺にはやっぱりナルシスト振りが鼻につきます。得意げに自作の社歌を披露した後に「どうだろう。少しでも熱い気持ちになってこないだろうか」と読者に問いかけるくだりなんか、尻がむずがゆくなるといいますか…。
ここで熱い気持ちになれるタレントさんはヘキサゴンファミリーで面倒みてもらえるけど、逆に鼻白んでそれを態度に出しちゃうような人は逆鱗に触れるのかなあ。実際はどうだったんでしょーか。
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