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2006年4月 3日 (月)

はじめに①

氷河期なんていわれていた新卒の就職状況だけど、学歴や男女の別なくこの春はかなり改善されてきたみたいだ。業績は好調が続き、団塊の世代の大量定年も目前。やる気ある若い人に与える仕事がない、というつらい事態は全体として減りつつあるのかもしれない。

でも、それは果たしていいことづくめなんだろうか? 
もちろん職がある方がいいに決まっているんだけど、そんな疑問があるのは企業業績が好調さな反面、最近は働く現場の人たちが疲れきっているからだ。これは普段、ぼく自身がいろんな会社へ取材に行ってそう感じることがとても多いし、正社員の長時間労働が増えていることはデータが示してもいる。

たとえば、年間250日以上働く人――要はアルバイトではなく正社員や経営者だ――のうち、週60時間以上働いている人の割合は1990年代までは男性全体の2割強、女性全体では1割強だったものが、2002年に男性の割合が27.6%まで急増している。これは玄田有史東大助教授が『働く過剰』(岩波書店)の中で指摘している。この辺のことを詳しく知りたい人は、ぜひこの本を読んで欲しい。

また、サービス残業という名のタダ働きという問題もある。連合の資料を見ると、やはり流通や金融業界がひどい。新卒でいきなりこういう世界に入ったら悲惨だな。いや、新卒でなくても悲惨か…。

ほんのちょっと前まで、多くの日本企業では終身雇用・年功序列的な制度で社員の生活を保障する一方、滅私奉公的な働き方を求めてきたけれど、90年代後半に大企業がバタバタ倒産したおかげで、終身雇用・年功序列なんて大した裏づけはない幻想だったことにみんな気付いてしまった。

でも、人間を必要以上に組織に縛り付け、組織そのものを硬直化させていた制度がせっかくコケたというのに、職場はけっこうすさみ、働く人は疲弊している…。

なぜ安い給料でヘロヘロになり、身体を壊してしまうほど働いてしまうのだろう。仕事に対する責任感、人員削減で一人当たりの業務負担が増えた、ワーカーホリック…。理由は単純ではなさそうだ。ぼく自身、サラリーマン時代に何度か働きすぎで倒れているんでえらそうなことは言えないが、一つの仮説としてこんなことを考えてみた。

「サラリーマンは顧客が1社だけなので、対顧客とのパワーバランスが弱い」

サラリーマンにとっての顧客とは、もちろん勤め先の企業のことだ。ビジネスの世界で、売上を特定の1社に頼ってはいけないというのは鉄則である。だって、客が1社しかなかったら相手の言いなりになるしかないし、その会社がコケたら自分もコケてしまう。

逆に優良顧客をたくさん抱えていれば商売は安泰だ。ビジネスマンにとってこんなのは常識だが、自分に当てはめて考える人はあまりいない。自分がその会社と契約を結んで働いている経営体であることを、きれいさっぱり忘れているからなんじゃなかろうか。

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