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2006年4月 5日 (水)

はじめに③ 「規模」からの解放

戦後はモーレツな勢いで勤め人が増加し自営業者と家族従業者が減っていった時代で、その背景には産業構造の大変化があったと前回書いた。これを別の面からみてみよう。

勤め人が増えたのは会社が労働力を必要としたからであり、かつ自営業をやっているより有利な条件を社員に提供できたからだ。これは街の小さなお店とスーパーを比較して考えるとわかりやすい。

会社という大きな組織でやるほうが家族でやってるお店より色んなことができるから、近所にスーパーができると小さなお店は大きな打撃を受けてしまう。コンビニは小さいのに競争力があるけれど、それは全国に張りめぐらせた店舗網から膨大な情報を吸い上げ、効率的な仕入れと配送、そして強力な広告展開や販売指導などを行うことで作り上げたものだ。

つまり、優れた商品やサービスを提供するには、基本的に大きな規模があったほうが優位に立てた。要するにビジネスへの参入コストが高く、資本力の差が会社の優劣に反映された、ということで、小規模商店などの自営業にとって不利な状況といえよう。また、会社に所属するということに社会的信用とか経済的安定とか、単に働いて給料を得る以上の意味が付いてきたことも、勤め人の急増には大きかったのだと思う。

でも、最近のように業務が専門化・高度化していくと、自社のビジネスのコア領域以外の部分については、内部に人材を抱え込んでおくより外部のサービスを利用したほうがレベルは高いしコスト面でも有利、なんて状況が出てきた。アウトソーシング化というやつだ。このとき、別に依頼する先は企業でなく個人事業者でもいいわけだ。望む以上のサービスを妥当な金額で提供してくれるのであれば。

一方で、専門的なスキルをもって働く個人にとっても、一つの会社の枠の中だけで仕事をしているよりいくつかの会社から仕事を請け負ったほうが、自分の得意な分野に集中して仕事ができるわけだし、より専門性を高めることができる。サラリーマンとは違い、収入もグンと増やせるかもしれない。開業資金だって、オフィスを持たないのであれば、PCとネット接続環境くらいで済む。ダメならまたどこかに勤めればいいし。

それに、よく考えてみると会社で働くことにともなう個人側のコストはバカにならない。通勤時間が往復で1日1時間半かかれば、1ヶ月で30時間、1年なら15日分かかる計算だ。社内では本来の業務以外の色んなことがのしかかり時間と気力・体力を奪っていく。何より、自分では思い通りに意思決定できないことが多い。阿呆な上司やしがらみで身動きの取れない体制の下で働くことほどストレスのたまることはない。

また、小売業など直接消費者を相手にするビジネスでも、ネットを使えば店舗費用や在庫をそれほど抱えなくていいから、昔とは比べ物にならないくらい低リスクで商売ができるようになった。リアル店舗とは違い全国を相手にできるから、モーレツに個性的な品揃えのお店でも成立する可能性がある。というか、どれだけ個性や特徴を打ち出してファンを獲得するかが勝負のカギになっていて、自営業者が大手業者と差別化してやっていける余地は十二分にあるといえる。

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