« 起業・経営コンサルタント 佐藤一郎さん① | トップページ | 起業・経営コンサルタント 佐藤一郎さん③ »

2006年10月20日 (金)

起業・経営コンサルタント 佐藤一郎さん②

生活の安定より、自己実現を優先したい

 華やかなイメージのある銀行の国際部門で働いていた佐藤さんだが、香港から帰るとき、新たな職場として国内支店勤務を希望した。

「当時はしばらく海外に勤務すると、“リハビリ”と称してよく検査部でワンクッション置くことが多かったのですが、私は直接国内支店に戻してくださいといったんです。私は外語大卒ですが横文字の生活が嫌だったことと、銀行員としてのキャリアが偏っていたのでそろそろ変えたくなったんです。本部で6年、海外で4年近く働きましたから外語大卒として採用してもらった分はもうお返ししたでしょう、今度はやりたい仕事をやらせて欲しい、と。

それで千葉県の船橋支店に副支店長として赴任しました。支店の現場に出てみると、まず困ったのが銀行の中の言葉がわからなかったこと。支店の中でも略して言う特殊な用語があるんです。もう一つ困ったのは以前の支店勤務時代とは異なり、預金金利が自由化されてお客さんと相対で金利を決めるように変わっていたこと。大口の預金者とこうした交渉をするのが、副支店長の大事な仕事のひとつだったのですが、私はその値決めの感覚がわからなくて、慣れるまで大変でした。

その後南阿佐ヶ谷支店、青戸支店の支店長を歴任しました。この時代は本当に充実していましたね。支店長時代はお客様である企業経営者と『人』と『人』とのおつきあいができたからです。もちろん、持ち込まれる融資案件のすべてに前向きな回答ができたわけではありませんが…」

しかし2002年、佐藤さんは20年以上勤務した銀行を退職した。

「銀行の論理が必ずしもお客様の役に立たないというか、必ずしもお客様のプラスにならなくても銀行員としてはお願いしなければいけないことってありますよね。例えば、お金を貸す際に、お客様が必要とする以上に借りてもらうとか。その辺りの違和感がだんだん強くなっていったんです。

 もう一つの理由は、本当は1人1人の経営者の相談事に乗りたかったんですが、忙しすぎてその時間がまったくなかったこと。せっかく目の前に困っているお客さんがいて、自分は何か役に立てるはずなのに、その時間がないんです。

 経営者とお話をしていると『実は支店長さあ…』とよく本音が出てきました。最高責任者である支店長には、副支店長には話さないようなことも話されるんですね。それが支店長の仕事の魅力でもありましたが、銀行は一件でも多く営業して少しでも融資を伸ばす、あるいは不良債権を回収しなければならず、組織的にも時間的にも経営者のお手伝いをすることは難しかった。

 それに、このままでは自己実現ができないとの思いがありました。わかりやすくいうと当時は40代後半でしたから、そろそろ銀行員生活の最後が見えてくる頃ですよね。銀行によって違うのですが、私がいた会社ではだいたい50歳前後で関連会社や取引先に出向になることが多い。

 出向することは次の仕事先が保証されていて生活的には安定しますが、例えばいきなり興味のない業種の会社に総務部長として行ってくださいと言われて、1からその世界の勉強をしなければいけないわけです。生涯で働ける期間が一般的に60歳までだとすると、50歳から60歳という最後の貴重な時代をそういうことに費やさなければいけなくなる。

 銀行マンになったからにはぜひ支店長をやってみたいと思っていましたが、それも二支店やりましたから、銀行の中での自己実現はできた。だったらこの先は自分でやりたいことをやったほうがいい。実は、いずれ銀行をやめてやりたいことをやるというのはずっと思っていたことで、40代に入ってからは具体的に考えていました」

|

« 起業・経営コンサルタント 佐藤一郎さん① | トップページ | 起業・経営コンサルタント 佐藤一郎さん③ »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 起業・経営コンサルタント 佐藤一郎さん②:

« 起業・経営コンサルタント 佐藤一郎さん① | トップページ | 起業・経営コンサルタント 佐藤一郎さん③ »