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2006年10月24日 (火)

起業・経営コンサルタント 佐藤一郎さん④

「今は夢を一つ一つ実現できている」

 独立した際のビジネスコンセプトは、中小企業を顧客とする資金調達や創業支援のコンサルティングを考えていたという。顧客はどうやって開拓したのだろうか?

「銀行時代の人脈は一切使っていません。銀行を出た自分がその顧客にアプローチするのは潔くない。過去の遺産に頼らず自分で開拓していくぞ、と。コンサルティング会社時代のつながりの仕事も、ほとんどありません

Okanenokarikata

 仕事に関係するネットワークとしては、私は銀行員時代に中小企業診断士を取得しているので、診断士の会のつながりがあります。でも、仕事に結びつくのは受け身ではなく、自分から働きかけてつくった人脈の方が多いですね。これはと思った方とお会いし、自分が何をできて、相手に対してどのような貢献ができるのかを伝えておく。すると、何かの拍子にそれが実を結ぶことがある。

 自分から働きかけることが大切です。私が本を出版できたのは(独立してすぐ後の2005年12月、佐藤さんは『元銀行支店長が教える正しいお金の借り方』(PHP研究所)という著書を出版した)出版エージェントの存在をテレビで知り、自分からアプローチしたからなんですね。もちろん、アプローチすれば必ず本を出せるわけではない。しかし、アプローチしなければ絶対にチャンスはありません。大学で教えるようになったのも、大学教授の友人に「大学で教えてみたい」と相談したところ、その場ではもちろんダメだったけれども、5年後に「この大学で募集がある」と知らせてくれ、それがきっかけになりました。

会社員時代と比べると、満足度は間違いなく今のほうが高いです。本も出せたし、大学で教えることもできた。自分の夢だったことを一つひとつ実現できていますから。銀行員を続けていたらこういう自己実現はありえなかった。

 マイナス面としては、収入が減りました。現在は支店長時代の半分くらい。ただ、住宅ローンは退職金で返済しましたし子供もいませんから、そんなに蓄えもないかわりに負債もない。食っていけないことはありません、という感じですね。

 大学で教える日は朝6時くらいに家を出て、8時半くらいには到着する。授業は午後からなのですが、学生との面談や会議などもありますので。それ以外の日は都心のSOHO向け施設をベースに動いています。朝9時くらいに入り、約束がなければラッシュが始まる前、4時くらいに引き上げて、あとは家で仕事をする。

 効率を考えると本当は自宅で仕事をしたかったのですが、妻と生活の時間帯が違うので、外に仕事場を持たざるを得ませんでした。昼間私が家にいると、妻の友人が電話をするにしても遠慮するようなんですね。独立に関して妻からの反対はほとんどありませんでした。ただ、やりたいことをやってもいいけど私の邪魔をしないでね、と。

 独立して段々わかってきたのは、個人で個別企業のコンサルティングをやるのは大変ということ。それほど手間がかからないからと依頼された仕事が、いざ入ってみると話が全然違うということが往々にしてあります。無形の仕事なので業務の線引きが難しく、追加の要求が次々出てきて仕事がエンドレスになりかねない、という場合もある。

 それで最近は講演や研修講師など、話をする仕事へ業務の中心をシフトしています。もちろん、現場を経験していなければ枯渇していまいますから、新しい情報をインプットするためにもそうした仕事もやっていくのですが、比率としては話すことが4割くらい、コンサルティングが3割、執筆が2割、残りがその他という感じで考えています。

 依頼される仕事の量はかなり増えてきたので、今後は一つ一つの仕事の単価を上げて銀行員時代の収入の水準をちょっと上回るところまでいけばいいなと思っています。組織をつくってビジネスを大きくすることは考えていません。税務対策として会社をつくることはあるでしょうが、人を雇うといろいろ面倒くさいじゃないですか。あくまで『個』として活動していきたいですね」 (了)

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