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2006年11月 3日 (金)

CIO代行・補佐 三木康弘さん⑤

相手の役に立つことを徹底してやると人脈ができる

 独立してから約1年。以前と以後ではどのような変化があっただろうか?

「おかげさまで、とてもやりやすくなりました。会社だとお客さんと話をする時に一度社内で意見を集約しなければいけませんが、そういう手間がなくなった。すべて自分で決められるのが大きいですね。

 時間的には少し余裕ができました。基本的には朝9時くらいにはクライアントの会社に行き、早いときは午後10時くらい、遅いときは夜中の2時、3時くらいまで働いています。相変わらず仕事量は多いですが、今は土日は休めることが多いので大したことはない。自分が決めたことで巨大組織が変わっていくことがハッキリ実感できますので、非常に楽しくやっていますよ。収入は会社に勤めていたときより増え、妻も喜んでくれています。

 契約は毎月いくら、はいおしまい。そんな感じです。勤務条件も成果物の定めも何もない。ICでも色々な契約の形があると思いますが、私はものすごくあいまいな部類に入ると思います。そもそも私に降ってくる仕事は『どうすればいいのかわからない…』と発注者自身がうまくオーダーを出せなくて悩んでいるところに行って、一緒に考える仕事なんです。なので、最初の段階で業務内容を定義するなんて無理なんですよ。

 ICになって困ったことは何もありません。ただ、先の不安はあります。この後、もしかしたら半年や1年、仕事が入らないことだってあるかもしれないですから。私の仕事は使ってもらえば役に立つとわかってもらえますが、なかなか売りにくい仕事なんですね。いきなり経営の懐に飛び込むような仕事を、赤の他人には頼みにくいでしょう。いわゆる外注のような感覚ではないですから、依頼のされ方は。

 自分のスキルの陳腐化への対処としては、人脈づくりですね。一番勉強になるのは大企業の役員クラスの人たちと話すことで、その人脈はかなりつくっています。昨日も大企業のCIOが集まった勉強会がありまして、そういうところにはなるべく顔を出すようにしています。あまり知られていませんが、大企業の経営幹部は他企業の経営幹部とよく非公開で勉強会を開いています。最近とある上場企業の会長さんと仲良くなりまして、『君も勉強においでよ』と誘っていただいて、参加しているんです」

 取材していて実感したのは、三木さんのコミュニケーション能力のずば抜けた高さである。こうした大企業のトップから、現場の最前線にいる社員とまで、すぐに仲良くなってしまうのだ。その秘密はどこにあるのだろうか。

「相手の人が何をしたら喜んでくれるかな、という視点は常に頭にあります。例えば、大企業の役員であればメディアに出ていますので、それは必ず読んでいきます。そうでない人でも、その人のやっている業務や関連することは可能な限り調べていく。絶対に手ぶらではいかず、情報や話のネタの“お土産”を持っていくんです。

 件の会長さんと仲良くなったのも、たまたまご挨拶にうかがう機会があったので、自分が何者かという資料をその方が興味を持ちそうな視点でまとめ、その方の新聞記事を読み、その会社の経営上の問題点を自分なりに調べ分析していきました。すると、10分くらいの予定が1時間以上話し込むことになりました。その縁があって、勉強会を紹介していただいたんです。

 現場へヒアリングに行くときに、手ぶらで行って偉そうに『あなたの業務を教えて』というコンサルタントがいますが、これでは『何も知らないアホが来た』と反発されてしまう。その辺にあるプロジェクトの資料を引っくり返せば、半分くらいはわかるんですよ。そうやって調べた上で『こういう業務と理解していますが、資料を見るとこの点が矛盾している。実際はどうなんでしょう?』と質問すれば、相手の反応は全然違ってきます。

 別にコミュニケーションテクニックとかではなく、相手の役に立とうと思えば自ずとそうなります。役に立とうと思えば、相手のことをよく知りたいと思うだろうし、相手を喜ばせる情報の一つも持っていこうという発想になるのは自然なことです。そういうことをやっていたら、おかげさまで色々な人からかわいがっていただけるようになりました。

 これから先は、今のペースで働くのは45歳くらいまでかなと思っています。その頃には生活の心配をせず、好きにやれるようになっていれば。引退するつもりはないですけど、あまりあくせくしたくもないなと。さすがに45歳になったら、普通の時間に帰宅したいと思うでしょうから(笑)」(了)

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