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2006年11月14日 (火)

ファッション流通IC 齊藤孝浩さん④

業務改革を主導し、3年間で在庫の20%削減を達成!

 アメリカで実地に小売業を学ぶ生活の中で、齊藤さんは将来のワークスタイルのモデルとなる人物と出会った。

「サンディエゴには若手のアントレプレナーが集まって交流を深める会があって、その中には大企業の管理系の役員を経験しリタイアした後、アントレプレナーの支援をしている方たちが3人くらいいたんです。その人たちは、最低時給でベンチャーの経理部長を3~4社掛け持ちして引き受ける代わり、ストックオプションをもらうという形で働いていた。

 そんな働き方があると知ったのはたまたまでした。その中の1人が来社したときに社長が手を離せず、私がしばらくお相手をしたときにそんな話を教えてもらったんです。自分の専門分野を極めた後、50歳を過ぎたらその経験をいかして有望な起業家、ベンチャーをサポートし、ストックオプションをもらって最後は一緒に美酒を味わう。それからはあんな生き方がいいなと思うようになりました」

 1年のアメリカ生活を終え、日本に帰国した齊藤さんは就職活動の末、カジュアルウェア店をチェーン展開する年商100億円規模の会社に就職した。

「入社した会社はサンディエゴ時代のクライアントです。帰国して就職活動したところ外資系企業からの引き合いが多かったのですが、外資系はドライすぎる感じがしたことと、そのチェーン企業の経営者が『そういう希望があるのなら、うちで5年間みっちり勉強して独立すればいい』とおっしゃってくれたので、その言葉を信じて入社しました。

 最初に与えられた仕事は服飾雑貨・バラエティグッズのバイヤーです。誰が教えてくれるわけでもなく、先輩たちの背中を見ながら1年間で仕事を覚えました。すると、仕事のやり方に対する疑問がいくつも湧いてきた。当時は商品を管理する部署がなく、バイヤーに大きな権限と責任を持たせる体制をとっていたのですが、それゆえ失策も多かった。

要するに、バイヤーが買いすぎて売り切れない事態が必然的に発生する。すると売り切るために値下げセールをしましょうと提案し、本当にやっちゃうんですよ。しかもそのほうがセールムードが盛り上がるという理由で全品20%オフにして、売れないモノを売るために売れるモノまで値下げするものですから、当然粗利は下がります。でも、売上げの絶対額は上がったからいいじゃないか、といった話がまかり通っていたんです。

これはおかしい、もっと精度を上げて管理すれば利益も上がると主張したら、創業会長から商品管理部門を立ち上げろとの指令が出て、そちらの仕事を担当することになりました。最初は業務の洗い出しから着手し、現場の人が発言できる場をたくさんつくって多くの意見に耳を傾け、それに基づいて業務改革を進めていきました。

具体的にはそれぞれのお店にどんなお客さんが来て、どんなモノを望み、どんな価格帯でどれだけ購入されていくかをつかみ、それに合わせた品揃えと在庫の持ち方をしていきましょうと。それまでのバイヤーがメーカーの担当者と話をして、カンだけに頼って『これいこう!』と決める世界ではなく、まず各店の適時適量をつかみ、それに基づいて発注していこうとする方向に切り替えたわけです」

齊藤さんが主導した業務改革は3年間に渡って行われ、その間に在庫は20%減少し粗利率は5%上昇するという劇的な成果をあげた。在庫を削減した分だけキャッシュフローは改善され、かつ新鮮な商品を供給できるようになったからその効果は絶大なものがある。この成果が評価されて齊藤さんは取締役営業本部長、取締役経営企画室長を歴任し、最後に同社の最高益達成を見届けた後、2004年に退職し独立を果たした。

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